「低炭素社会」から「脱炭素社会」へ
世界中で進められる「カーボンニュートラル」
2050年までにCO2(二酸化炭素)排出実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」。世界中でこの取り組みが進む中、日本でも家庭の節電から企業の脱炭素技術まで、あらゆるレベルでの取り組みが求められています。
ポイント
- カーボンニュートラル : CO2の排出量と森林などが吸収するCO2の量のバランスが取れ、実質排出量がゼロの状態が「カーボンニュートラル」です。
- 家庭でできる取り組み : 省エネ家電や節電で、エネルギーの無駄遣いを省くことが、カーボンニュートラルの実現に役立ちます。
- カーボンニュートラルと世界 : 日本を含む150を超える国と地域が、カーボンニュートラルへの参加を表明しています(2022/10月現在)
- 実現への道のり : カーボンニュートラルを実現するために、再生可能エネルギーによる発電の導入や省エネ設備を取り入れたZEH住宅など、様々な取り組みが行われています。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、人為的に大気中に排出されるCO2の量と、森林などが吸収するCO2の量とのバランスが取れている状態のことです。つまり、CO2の排出を「実質ゼロ」にすることを意味します。
カーボンニュートラルはなぜ必要?
パリ協定では、地球の平均気温上昇を産業革命前より1.5℃以内に抑えることを目指しています。これを実現するには、温室効果ガスの大部分を占めるCO2の削減が重要で、2050年には世界全体でカーボンニュートラルを達成する必要があるとされています。
「低炭素社会」から「脱炭素社会」へ
これまでは、大気中に排出されるCO2を削減する「低炭素社会」の実現に取り組んできました。しかし、気温上昇を1.5℃に抑えるには、それだけでは不十分です。さらに一歩進めて、CO2の排出を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現が求められています。
世界中で、このカーボンニュートラルに向けた取り組みが進められています。
わたしたちの家庭でもカーボンニュートラルの実現にむけた取り組みが求められています
人間の活動により排出されるCO2
生活に不可欠な電気は、大量の化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃焼させる火力発電で作られ、この時大量のCO2を排出します。また、ガソリンを燃料にする自動車に乗ってもCO2が発生します。私たちの暮らしが便利になればなるほど、大量のCO2が排出されることになり、地球温暖化を加速させているのです。
火力発電を抑えることで、化石燃料の使用量が減り、地球温暖化の原因となるCO2の発生を低減できます。
わたしたちの家庭での取り組みも重要です
私たちが暮らしの中でできることは、まずエネルギー使用の無駄を見直すことから始まります。使っていない部屋の電気を消す、省エネ家電に買換える。さらに、太陽光発電を導入するなどで電気をつくる。こうした取り組みを一人ひとりが実践することが、カーボンニュートラルの実現につながります。
多くの国がカーボンニュートラルに参加しています
日本を含む150を超える国と地域が、カーボンニュートラルへの参加を表明しています(2022/10月現在)。
2050年カーボンニュートラルの実現にむけて
日本は「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。その実現には、徹底的な省エネに始まり、電力部門での再生可能エネルギーの最大限の活用、産業・運輸部門での電化や水素化、さらに脱炭素化できない領域でのCCUS/カーボンリサイクルなど、あらゆる分野で革新的な技術開発とイノベーションが必要です。
- 電力部門での非化石電源の拡大
- 再生可能エネルギー発電の拡大
- 3E+S※による原子力発電の活用など
- 産業・民生・運輸部門での取り組み
- 脱炭素化された電力による電化
- 水素化、メタネーション、合成燃料等を通じた脱炭素化など
- 電化・水素化等で脱炭素化できない領域
- CCUS/カーボンリサイクル等の最大限活用
カーボンニュートラルの実現にむけての課題
カーボンニュートラルを実現するには、社会のあらゆる場面で革新的な技術開発やイノベーションが必要です。
ここでは、電気をつくる「電力部門」と、私たちの家庭やオフィスなどの「民生部門」の課題を紹介します。
| 電力部門 | ||
|---|---|---|
| 脱炭素技術 | 克服すべき主な課題
|
|
| 発 電 |
再エネ | 導入拡大に向け、系統制約の克服、コスト低減、周辺環境との調和が課題 |
| 原子力 | 安全最優先の再稼働、安全性等に優れた炉の追求、継続した信頼回復が課題 | |
| 火力+CCUS / カーボンリサイクル | CO2回収技術の確立、回収CO2の用途拡大、CCSの適地開発、コスト低減が課題 | |
| 水素発電 | 水素専焼火力の技術開発、水素インフラの整備が課題 | |
| アンモニア発電 | アンモニア混焼率の向上、アンモニア専焼火力の技術開発が課題 | |
| 民生部門 | ||
| 脱炭素技術 | 克服すべき主な課題
|
|
| 熱 ・ 燃 料 |
電化 | エコキュート、IHコンロやオール電化住宅、ZEH,ZEB等を更に普及させるため、設備コスト低減が課題 |
| 水素化 | 水素燃料電池の導入拡大に向けて、設備コスト低減、水素インフラの整備が課題 | |
| メタネーション | メタネーション設備の大型化のための技術開発が課題 | |
電力部門と民生部門での取り組みを抜粋
脱炭素技術の例
ZEH(ゼッチ)の普及
ZEH(ゼッチ)は、家庭で使用するエネルギーと、自家で発電するエネルギーのバランスを取り、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする住宅です。高断熱・高気密化と省エネ家電などの高効率設備で効率化を高め、太陽光発電などでエネルギーを創出します。
日本は、エネルギー基本計画において、2030年度以降に新築される住宅について、ZEH基準の性能が確保されることを目指しています。
脱炭素技術「CCS」と「カーボンリサイクル」
- CO2を分離・回収して地中に貯留する「CCS」
火力発電所や工場から排出されるCO2を化学的に分離・回収し、地中深くに安全に貯留する技術です。 - CO2を“資源”ととらえ、素材や燃料に再利用する取り組み、「カーボンリサイクル」
回収したCO2を原料として、プラスチックや燃料、コンクリートなどの有用な製品に変換する技術です。
水素を利用した技術例
- 燃料電池エネファーム
家庭用燃料電池システムで、都市ガスから水素を取り出し、電気と熱を同時に供給します。 - 水素発電:水素ガスタービン
水素を燃料とする発電システムで、燃焼時にCO2を排出しません。 - 燃料電池自動車(FCV)
水素と酸素の化学反応で発電し、モーターで走行する自動車です。走行時にCO2が排出されません。 - 燃料電池バス、燃料電池トラック
公共交通機関や物流でも燃料電池自動車の活用が期待されています。



